食後は肝臓を休める

食後はごろんとする。

食後30分のごろ寝

疲れ気味の肝臓の回復が早まる

「ご飯を食べてすぐ横になると牛にるのよ~」。子どものころ、食後にゴロリと寝転んでこんなふうにたしなめられたかたは少なくないでしょう。しかし、この行儀の悪いごろ寝、実は肝臓のためにはとてもよいことなのです。

そもそも肝臓は1沈黙の臓器」といわれ、ちょっとやそっとの障害では自覚症状があらわれてきません。あらわれたとしても、食欲がない、だるいなど、ほかの病気にも共通するごくありきたりのものです。不

不摂生をすると、てきめんに痛むような臓器なら、いたわろうという自覚も持てるのですが、肝臓はただ黙々としんぽう強く働きつづけるだけ。それだけに肝臓の健康維持はかえってやっかいだともいえます。

そのうえ困ったことに、もし肝臓病を起こしても、特効薬がありません。いったん肝臓が悪くなると、安静と栄養補給というごくオーソドックスな方法で地道に療養していくほかはないのです。そのため肝臓病の治療には、数週間から数カ月という長い療養生活が必要になるわけです。

こうしてみると、肝臓病にかからないようにするためたいせつなのは、日ごろから肝臓をいたわるという実に当たり前の生活習慣が大切です。そこで、有効な手段の1つが、食後のごろ寝なのです。

なぜ食後のごろ寝が肝臓によいのでしょうか。ひと言でいえば、肝臓が血液を大量に必要とする臓器だからです。肝臓の内部には毛細血管がびっしりと張りめぐらされていて、そこを通る血液中の栄養素を吸収して、体に必要なものをム歳するというたいせつな役割を果たしています。

そして、これらの血液はほとんどが門脈という血管を通って入ってきます。つまり私たちが食事をとると、小腸から吸収された栄養素は門脈を通って肝臓に送り込まれるのです。ところが、この門脈は静脈で、動脈よりはるかに血圧が低いのです。この低い血圧で、大量の血液を肝臓に送り込むためには、重力の影響が最も少なくなるよう、体を水平にしておくこと、すなわちごろ寝がいちばん効率がよいというわけです。ちなみに、肝臓を流れる血液の量は、すわると立っているときの2倍、横になると4倍にもふえます。

特に、食事のあとは、胃腸の消化作用に血液が回されて肝臓の血液が減るので、ごろ寝することでそのマイナス分をカバーする必要があるのです。そこで、できれば食後最低30分間は、あおむけに寝ることをおすすめします。その際、腹式呼吸を行って腹部の内圧を変動させると、静脈の流れがスムーズになり、さらに効果的です。

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